シャンディガフにどのようなビールを使用すべきか?

ビールとジンジャーエールを半量ずつで合わせたカクテル、シャンディーガフ。


シャンディガフには、黒ビールのスタウトを使うのが正統なレシピだという
説が流布されていますが、果たしてどうなのでしょうか?



少なくとも僕が知っている古い資料、1888年に出版されたカクテルブックの
「ハリー・ジョンソン バーテンダーズマニュアル」においては、使用ビールは
スタウトではなく、オールドエール、もしくはバス・エールのようです。



 SHANDY GAFF (use a large bar glass or mug.)
Fill the glass half full of old ale or Bass ale, and the other with
half Belfast ginger ale ;stir up with a spoon and serve.
This is an old English drink
;proper attention must be taken in order to have the drink in the right temperature.
−Harry Johnson Bartender's Manual 1888



オールドエールをカクテルに使うの? って感じですよね?
原価高いよ? 苦笑   当時の価格は知りませんけど。


じゃあシャンディガフは、バス・ペールエールで作ろう! ..と考えるのは、早計です。 
昔は、バス・マイルドエールやバス・NO1バーレイワインなども醸造していたため 
バス エールとゆう記述だけでは、バス・ペールエールだと断言できません!


ただ、ドイツから米国へ渡った移民であるハリージョンソンが手にした銘柄は、
当時バス社がアメリカへ輸出していた主力ビールが何だったのかを想像すると...
あながちバス・ペールエールの線でも間違ってなさそうですが..  ごにょごにょ 



また、レシピの ”Belfast Ginger Ale” について。


黄金色で明るい色調で、味わいも軽やかでシュワシュワしたジンジャーエールは、
1907年、カナダ人 John J. McLoughlinによって生みだされたもので、
その当時のジンジャーエール界にとっては、一大革命でした。
カナダドライジンジャーエールの発祥でもあります。)


John J. McLoughlin以前のジンジャーエールはとゆうと、こげ茶の暗い色調で
シロップのようにベッタリと甘く、生姜のフレーバーが強烈なものだったようです。
そのジンジャーエールこそ、ベルファストジンジャエールです!



1907年以前のジンジャーエール、つまりハリージョンソンのレシピで
シャンディガフを再現しようとするならば、使用するジンジャエール
ベルファストジンジャエール、ビールは明文化されているオールドエールを
選択するのが妥当・適当だと思います。


オールドエールは、まろやかな口当たりでコクがあり、当時の
ベルファストジンジャーエールとの相性が良く、加えてアルコール度数
6〜9%の幅(銘柄によってはもっと高い度数)があるビアスタイルなので
ジンジャーエールと半々で割っても、充分なアルコール感が保てます。



この組み合わせ、ハリージョンソンのシャンディ・ガフ
ブラウン〜ダークブラウンの色調をした、生姜の効いた甘口で
飲み応えのあるものと推測できます。



作ってみました!



■ Old style - Shandy Gaff  オールドスタイル・シャンディ・ガフ

George Gales Jubilee Ale alc12%
Homemade Belfast Ginger Sirop
Cinnamon Powder
Soda


氷抜きのスローイングとゆうか、デキャンティングとゆうか、
容器を移し替えることで、炭酸を減らして温度を上げます。
注:冷蔵庫がまだ普及していない点を考慮して、ぬるめの温度で仕上げます。


また、古酒香のあるジュビリーエールを使用することで、レトロ感を演出。
当時のビールは、おそらく発酵時の炭酸のみでガスが弱いと推測されるため、
炭酸のないジュビリーエールはこの点においても最適です。 


注:ソーダから、微少の炭酸が得られるので、無炭酸のシャンディガフではありません。



オールドスタイルのシャンディガフ、お試しあれ!



【 other shandy gaff 】
■ 続 シャンディガフにどのようなビールを使用すべきか? →ココ
■ 18世紀のシャンディガフ →ココ 
■ Kumquat Shandy Gaff →ココ