ブラジル産鶏肉がなぜ安いのかを調べたら元農水相賄賂事件に繋がった話

圧倒的に安価であるブラジル産の鶏肉。 

ブラジルの養鶏産業を調べてみたら、

想像と全然違ってたという話。

 

 

ブラジルの養鶏業は日本と違い、鶏の生産から流通、

加工まで手掛ける垂直統合。 IT業界でいえばApple

ブラジルには従業員数が数万~10数万人規模の

コングロマリットが数社も!存在するのだそう。

 

 

さらに、飼料代が安い(鶏の飼料=穀物の一大生産地)・

土地代が安い(日本の22.5倍の国土面積)・労働力が安い、

という脅威的な価格競争力を有するブラジル。

 

 

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鶏1羽あたり生産コスト、日本円にして198円。

対する日本国内の養鶏コストは、1羽あたり440円。

ブラジルの198円と2倍以上の差が!

 

 

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ちなみに、国内産の鶏肉、卸売価格1羽あたり610円なので、

440円の生産コストなら、原価72%ですね。 

ぐは、原価率、高っけ! 

 

 

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....と思ったのですが、よーく考えたら、これ卸値だから

小売価格を地元スーパーのグラムあたりの販売価格から

計算すると、およそ原価38%になると思われます、はい。

 

 

コストはさておき、大多数の方が外国産に

農薬ガー、不衛生な生産環境ガー、て印象持ちがち。残念。

ブラジルの養鶏環境は、日本よりも国際的な評価が高いんだって。

 

 

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ブラジルの養鶏は、EUの基準に倣い1羽当たりの

飼育面積、550c㎡を確保。 対する日本の飼育面積430c㎡。 

ブラジルの方が、動物愛護に適った飼育環境になっています。

 

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全ての養鶏場が写真のようだとは限りませんが、

みんなブラジルの養鶏場にこんな想像してました? 

 

ギチギチにケージに詰めて不衛生な環境で

育ててるから安いんだって思ってませんでしたか? 

正直、僕はそう思ってました 苦笑

 

 

 

では、なら何故、良好な飼育環境にも関わらず

ブラジル産鶏肉は国産鶏肉より品質の評価が低いと

感じている方が多いのでしょう?

 

それは、端的に飼育期間の長さが影響してると考えられます。

ブラジル産鶏肉は、生後42日で出荷。 

国内のブロイラーは50日、地鶏なら80日、親鳥ならそれ以上。

 

 

飼育期間が短いと肉質が柔らかくなる反面、味は淡白に。

逆に飼育期間が長ければ鶏肉の味は濃く、肉質は固くなる。 

地鶏は、双方のいいとこ取り。 だから地鶏は旨い。

ま、それだけではないにせよ、このアドバンテージはでかい。

 

 

 

近年、アニマルウェルフェア(Animal Welfare)なる

用語が注目されています。 

健康的に家畜を育てましょう、とゆう国際的枠組みのこと。

 

 

アニマルウェルフェアに沿った生産は、土地の少ない

国内養鶏業界にとっては大問題らしく、経営的に

かなり厳しい要求なのだそう...

 

そこで、規制を緩めてもらうため管轄の農林水産大臣

働き掛けをした、それが吉川元農水省賄賂事件、てわけ。

 

gendai.ismedia.jp

 

アニマルウェアに基づく国際基準を求められた養鶏業界。

その基準を満たすために必要な設備投資は、多大な資金が

かかるために、強く反発。

 

養鶏の業界団体の副会長や顧問を務めたアキタフーズの

元代表が、その現状を当時の農林水産大臣の吉川氏に

伝え、規制を緩めてもらうよう陳情した(賄賂つき)、

ていうのが、この事件の背景。 

 

 

価格で絶対に勝てない上に、さらに設備投資の必要性。

国際基準に従っても、外国産鶏肉の関税を上げればなんとか?

しかし、行く先、自由貿易協定TPPが待つ未来… 

消費者の国産ブランド信仰だけが、頼みの綱だったりして?

ブラジルの養鶏を調べたら、日本の養鶏産業の苦難を

知ってしまった話でした。