和のシャルトリューズ

もしも、鎖国の時代に、シャルトリューズ修道院から宣教師として
修道士たちが日本にやってきて、日本の野山にある薬草を使い
シャルトリューズを作成したのなら.... 



このような妄想ストーリーを描きつつ..
和のボタニカルを使用し、自家製シャルトリューズを作成します。
その名も、「ジャパニーズ・シャルトリューズ 」!  テッテレー



レモンバームの代わりに、オオサイコ。



ヤロウの代わりに、センキュウ。



ペパーミントは、カキドオシに。



アンゼリカは、シシウド。



タイムの代わりに、イブキジャコウソウ。



シナモンの代わりは、ヤブニッケイ



すべてを和のボタニカルで構成した自家製シャルトリューズです!


もしも、鎖国の時代に、シャルトリューズ修道院から宣教師として
修道士たちが日本にやってきて、日本の野山にある薬草を使い
シャルトリューズを作成したのなら.... 妄想しながら、一杯どうぞ ♪



......................................................................
付記。 
妄想を補強します。



鎖国政策下の日本で、外国人である宣教師が酒を造るなんて、
果たしてありえるのか?



1810〜12年、長崎の出島でオランダ商館長の任に就いていた
ヘンドリック・ドゥーフが、オランダがナポレオン率いるフランスに
併合された影響で本国からの配給が途絶えたために、出島内で
ビールを醸造した史実があります。



ドゥーフ先輩。 


鎖国政策下の日本で、外国人が洋酒を造っていた! 
この事実は、他の洋酒も製造していたという可能性の扉を開きます。  



...........................え?
商館長は製造したかもしれないけど、宣教師には不可能だって ?


確かに、江戸幕府キリスト教の布教を厳酷なまでに禁じていたし、
しかも出島に居留していたのはポルトガル人とオランダ人だけで
シャルトリューズ修道院のあるフランス人ではありません..



しかし、1636年 キリシタン弾圧下にも関わらず、布教のために
日本へ渡航してきたフランス人宣教師がいます。 
フランス・ドミニコ会の宣教師ギヨーム・クルテ、この人です。


ギヨーム・クルテは、江戸幕府が発した1613年の禁教令に反し、
秘密裏に布教活動を行った信心深い人物だったのですが、
それが理由で拘束、拷問を受け、悲運にも日本で亡くなることに。 
この宣教師クルテのような人物が、もしかしたら他にも存在したかも
しれません。 可能性は無きにしも非ず?



...........................え?
そもそも、妄想の設定がどうして鎖国の時代なのかって?



時系列を確認します。


1605年 シャルトリューズ・リキュール誕生。
1613年 江戸幕府キリスト教禁止令を出す。
1639年 鎖国政策がはじまる。
1737年 シャルトリューズ修道院外に販売開始。(ただし近郊の市街に限定)
1789年 修道院閉鎖。 修道士四散。
1803年 リキュールのレシピが薬剤師の手に。
1810年 レシピを古文書として保管するように内務省に提出。
1811年 内務省が却下。
1816年 リキュール製造を再開。
1838年 修道院を通りかかった将校らにより各地で宣伝されるように。
1853年 ペリー来航。
1854年 鎖国終了。
1858年 日仏修好通商条約。
1859年 開港居留地においてのみ、外国人に限り信仰の自由を認める。
1867年 パリ万博に日本初参加。
1903年 修道院解散。 スペインのタラゴナで製造続行。
 

まず、ザビエルが布教に勤しんでた時代には、そもそもリキュール自体が
存在しないため、この時代に設定するのは妄想とはいえ無理があります。
リキュールが修道院近辺のローカルな存在から脱し始めたのが
1838年以降になるので、日本に伝わるのも早くとも1838年以降に。
更に、一般的に日本に洋酒類が上陸したとされるのは、1853年ペリー来航後。 
つまり、鎖国の時代に設定するのは、いささかキビシー! 苦笑



しかし、妄想はありえないからこそ面白い。


前述の日本でビールを作ったオランダ商館長ヘンドリックドゥーフ。
このドゥーフと交流のあった長崎奉行所の通詞目付に茂伝之進なる人物がいます。
茂伝之進は、困窮していたドゥーフの為に、日本で手に入る材料で
ジンの再現を試みたという歴史的事実があります。


もしかすれば、1789年の修道院解散で四散した修道士の誰かが、
宣教師クルテのような気質であったために日本に渡航し、更に茂伝之進のような
協力的な人物、例えば隠れキリシタンの協力を得て、日本の野山にある
薬草からシャルトリューズのような酒を造ったかもしれない...?



妄想はありえないからこそ面白い。

この「和のシャルトリューズ」は、現代版の茂伝之進的な薬草酒なのです!
チャラーン。