新しいムーブメント

以前紹介したオランダのビール、Oersoep Into the Wild。
そのビアスタイル、ブレットビール(brett beer)とは、その名の通り
ブレット(野生酵母ブレタノマイセスの略)を使用したビールの事で、
米国を中心に、ここ1,2年の間で盛んに醸造され始めています。



ビールに詳しい方なら、それってランビックじゃない? 或いは
ブリュッセル以外で造られたブレタノマイセス使用のサワーエールではないかと
仰るに違いありません。


ブレットビールはそれらと異なり、酸味が無い、もしくは酸味が少ない(※)ため、
ブレタノマイセスの香味の特徴(馬の毛布、山羊、革などの香り)は活かしたまま、
多彩なビアスタイルでビールを創り上げることが可能となっています。


(※) 酸味が無い、もしくは酸味が少ない点について
醸造家ではないので、あくまで想像の範疇でしかありませんが、乳酸菌が
増える発酵第三段階めを、19度以下にすることで酸度を抑えていると思われます。



酸味があるサワーエールの場合、酸味とホップの苦味とのミスマッチを
回避するため、基になっているビアスタイルは、ベルジャンゴールデンエールや
セゾンである場合が多いですが、ブレットビールの場合はペールエールに始まり
IPAといったホップを効かせたビールさえも造られています。


写真は、IPAスタイルのブレットビール、ビターモンクです。
■ Ancourage Brewing  /  Bitter Monk   alc 9%

野生酵母使用のベルジャン・インペリアルIPAです。 
しかもシャルドネ樽熟成っ!



ブレタノマイセスは、発酵を開始してから約半年〜8か月後に
活動する酵母のため、ランビックには大気中にいるサッカロマイセスによる
初期発酵の段階が存在します。


ブレットビールに於いては、安定的な醸造を目指すという意味合いも兼ねて
通常の純粋培養されたビール酵母でまず発酵させてから
続いてブレタノマイセスでの発酵とゆう混醸ブレットビールと、
培養酵母を用いない100%ブレタノマイセス・ブレットビールとの
二種類のブレットビールが存在します。



下記写真のビールは、野生酵母ブレタノマイセス100%のIPAです。
因みに、アンカレッジ・ブルーイングのビターモンクは、酵母混合タイプです。
■ Evil Twin & Weatbrook / Famme Fatale Brett   alc 6%

イービルツインのファムファタール ブレットでは、IPA酵母を使用しない代わりに
三種類のホップ(ギャラクシー、シトラ、サミット)でホッピィに。


100%ブレタノマイセスだと高アルコールなビールを造れないとゆう難点が存在します。
しかし、100%ブレタノマイセスの醸造は、醸造家たちの意欲と挑戦心を
掻き立てて止まないようです。



ブレットビールは、アメリカのビアスタイルガイドラインで新しいビアスタイルとして
ブレットエール(brett ale)として記載されています。


American-Style Brett Ale
American Brett ales can be very light to black or take on the color of added fruits or other ingredients. Wood- and barrel- aged sour ales are classified elsewhere. Light to moderate and/or fruity and contributed by the Brettanomyces yeast. The evolution of natural acidity develops balanced complexity. Horsey, goaty, leathery, phenolic and light to moderate and/or fruity acidic character evolved from Brettanomyces organisms may be evident, yet in balance with other character. Acidity may also be contributed to bybacteria, but may or may not dominate. Residual flavors that come from liquids previously aged in a barrel such as bourbon or sherry should not be present. Wood vessels may be used during the fermentation and aging process, but wood-derived flavors such as vanillin must not be present. In darker versions, roasted malt, caramel-like and chocolate-like characters should be subtle in both flavor and aroma. American Brett ales may have evident full range of hop aroma and hop bitterness with a full range of body. Estery and fruity-ester characters are evident, sometimes moderate and sometimes intense, yet balanced. Diacetyl and sweet corn-like dimethylsulfide (DMS) should not be perceived. Chill haze, bacteria and yeast-induced haze are allowable at low to medium levels at any temperature. Fruited American-Style Brett Ales will exhibit fruit flavors in harmonious balance with other characters.


ブレットエールとゆう名称だと上面発酵に限定されてしまいますが、ゆくゆくは
コモンビールスタイル(ラガー酵母をエールの温度で発酵させたビール)とか
一旦、低温で下面発酵させた後に温度を上げてブレタノマイセスでの発酵
(それが意味ある行為がどうかは別にして)とゆうブレットビールが造られるとゆう
可能性も含めて、ブレット”エール”ではなくブレット”ビール”にした方が
無難だと思われるのですが、どうなのでしょう?