ソルティドッグの塩は、何のため?

ソルティドッグの塩は、何のため?
西瓜に塩をかけるのと同じ。 甘くなるから。



かつて、熟年バーマンかく語りき。


雑学好きなそのバーマン、ソルティドッグの塩の話題になると
しばしば古代のワインの話に....



古代ギリシャでは、ワインに海水を混ぜて飲んでおり、
推測するに、当時のワインは酸味が強かったはずだと。




推論を覆す書籍があります。



「食品偽装の歴史(原題 Swindled)」 ビー・ウィルソン著


古代のワイン造りの職人は、自分たちの望んだ味を出すためのさまざまな
工程を調整する手際が、現代のワイン造りの職人よりずっと劣っていた。
もしもすべての条件が整えば──葡萄が当たり年で、正しく発酵すれば──
古代のワインは旨かったことだろう。
しかし、ワインの出来が悪く、出来てから「調整」する必要がある場合が多かった。
そのためアフリカでは渋いワインは石膏で、(略)一方ギリシア人は、
ワインの渋味よりも淡白さを恐れていた。
彼らはワインのぼやけた味を陶土、大理石の粉、塩、海水などでピリッとしたものにする。



酸味が強いから、塩を入れたのではない模様。



ワインの風味を増すため(略)最もよく使われたのは蜂蜜だった。
蜂蜜はワインと半々というくらいに多量に添加されることがよくあった。
そのことは、甘味を付けていないワインが、口をすぼめるほど酸っぱかったことが
多かったのを示唆している。



酸味が強ければ、塩味ではなく甘味を加えようとするのが自然。



仮に、ソルティドッグの塩が、酸味をまろやかにさせる為だとすると、
塩で調整しなければならないグレープフルーツ果汁を、使うのであれば
ソルティドッグは作れても、グレイハウンド(ソルティドッグの塩抜き)は
(美味しくないから)作れないことになります。


一方、グレイハウンドが美味しいのなら、今度はソルティドッグ
塩を入れる理由がなくなります。



さらに、そもそも論。
酸味をまろやかにするため塩を加えるとゆう理屈だけでは、
直接カクテルに塩を混ぜても良いわけで、グラスの縁に塩を
付けている理由にはなりません。 淡白さ云々の場合もしかり。



ガリア人はどうやら、タイムやローズマリーのような薬草を添加することを
好んだようだ。ギリシア人は薔薇の花弁、菫、薄荷を添加した。
プリニウスは、アスパラガス、ヘンルーダ、欧州ナナカマド、桑の実、
シリア・イナゴ豆の莢(チョコレートに少し似ている)、ジュニパーベリー、
蕪、海葱、カッシア、シナモン、サフランのような奇妙な添加物に言及している。



古代人は塩以外にも様々な素材を使用したようです。


■ Ancients Salty Dog

saffron vodka、grapefruit、cinnamon、cardamon、salt



古代人がソルティドッグを作ったとしたら...
ソルティドックを、妄想アレンジ。



追記: パトリック・ファース著 「古代ローマの食卓」には、
ワインに塩を加える、また別の理由が書かれていることを付記しておきます。