RUTA, For more Info !

薬学部の植物園でその匂いを嗅いで気に入り、苗を
久万高原町で見つけて即買いした、ハーブのルタ。 


別名はヘンルーダ、コモンルー、ルー、ルー大柴(ウソ)。

ハーブのルタは、その香味の良さにより、ギリシャなどの地中海諸国で
料理やアルコールの風味付けなど、様々な用途で使われていました。


グラッパにインフューズされるハーブの代表格でもあり、
国内外で様々な銘柄のグラッパが販売されています。

イアン・スペンサー・ホーンジー著「 A History of Beer and Brewing 」によれば、
ルタは古代メソポタミアのビールの風味付けとしても利用されたようです。


lupin,skirett,rue,safflower,mandrake fruit,grape pips,date,fig,sycomore fig,
dom palm,coriander,fenugreek,bitter orange peel,


ただ、ルタの使用には難点が...

これまで多方面で重宝されていたルタですが、近年になり
毒性が確認されました。  唯一無二のフレーバーなのに、残念!



1980年に設立された国際研究機関IPCSのレポートによれば、
嘔吐、下痢、上腹部痛、流涎症、急性胃腸炎。 肝及び腎障害。
血行動態の変化と重症例ではショック。 子宮出血や流産。
重度の血行動態の乱れや二次の結果として肝腎不全のおそれが...
 
このような危険性があるのにも関わらず、今でもルタ入りグラッパ
販売されており、またエチオピアでは現在も料理に使われ続けられています。
!? 大丈夫なの...?  


どのくらいの量を摂取すれば、症状が現れるのか...
毒性反応が出る閾値が気になります。



EUの専門機関の一つである欧州医薬品局 EMAがまとめた、ヘンルーダ
毒性に関する研究結果のレポートに拠れば、スパイスや風味付けに使う程度の
量ならば、問題がないと述べられています。


Ruta graveolens may be added at mg/kg levels as spice and flavouring
agent in production of a variety of human food commodities.

また、前述のIPCSレポートにおいても、”有毒成分の服用量に関する
データは見つからなかったが、慣例的な使用例では、抽出液に用いる
ルタの重量が一日当たり1または2gを超えて摂取してはならないことが
知られている” と記述されています。


No data have been found on toxic doses of active principles, but
it is known that ingestion arising from the traditional use of
the infusion should not exceed 1 or 2 g/day of the plant.


それは裏を返せば、1〜2グラム以内の使用ならば
問題がないとも換言できます。

新鮮なルタの葉 1グラム量ならこれくらい。 
乾燥させたルタなら、もう少し量が増えるはず。



ルタ ・ジントニック  Ruta Gin Tonic
ルタとラズベリージンバック  Ruta & Raspberry Gin Buck


ライジン100ml当たり、ルタを一枝(約0,2g)インフュージョン
カクテル一杯では、およそ0,08gの摂取になります。



それでは最後に、ルネサンス期のスイスの医師・錬金術師であり、
「医学界のルター」や「毒性学の父」とも呼ばれたパラケルススの格言を
紹介して締め括りたいと思います。



” 全てのものは毒であり、毒でないものなど存在しない。
その服用量こそが毒であるか、そうでないかを決めるのだ。 ”