オールドギブソン

ギブソン・カクテルが、初めて登場したカクテルブック。
1908年出版 「The World’s Drinks And How To Mix Them」



まずは、表紙に書かれたMIXOLOGIST(ミクソロジスト)の文字に
驚かされます。 この時代から、この言葉があったなんて...



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それはさておき、諸説あるカクテル・ギブソン誕生の逸話。 
ただ、どの説も大同小異....



NYのバーテンダー、チャーリー・コノリーが、画家チャールズ・ダナ・
ギブソンに、マティーニのオリーブをパールオニオンに替えて
提供したとゆう一説。


または、ギブソンなる名前の外交官がレセプションの席で、冷たい水を
満たしたマティーニグラスにパールオニオンを入れて飲んだとゆう一説。


はたまた、ギブソンなる名前の銀行員がビジネスランチの間、
冷水で満たしたマティーニグラスに....   以下同文 苦笑



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それらに対し、前述のカクテルブックに記載されているギブソンは...


25ページ
GIBSON COCKTAIL
a la martin raggett.
Into a small mixing-glass place some cracked ice, half a jigger of
French vermouth and half a jigger of dry English gin ; stir
thoroughly until cold, strain into a cocktail glass and serve.
NOTE- No bitters should ever be used in making this drink, but
an olive is sometimes added.


小さなミキシンググラスに砕いた氷を入れ、イングリッシュ・ジンを45ml、
ドライベルモット45mlを注ぐ。 冷たくなるまでステアし、カクテルグラスへ。
ビターは不使用、オリーブはその時々で。



続いて、145ページから
GIBSON COCKTAIL
a la charles dana gibson, bohemian club, san francisco.
Equal parts of French vermouth and Coates Plymouth gin,
thorougly chilled. is called a Gibson Cocktail.
No decorations, bitter or citron fruit rind permissible in
this famous appetizer.


プリマスジンとドライベルモットを半々。 デコレーションなし。

 
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あ、あれ?  パールオニオンは...?
ギブソン誕生に関する諸説、爆発 ドカーン! 苦笑



ちなみに、パールオニオンの不在は、このカクテルブックだけではなく
その後に続く他のカクテルブックでも同様で、ギブソンにパールオニオンが
添えられるようになるのは、禁酒法以後のカクテルブックからになります。

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ギブソンに対し、一方ドライマティーニは....


145ページ
DRY MARTINI COCKTAIL
Into a mixing glass of cracked ice place a dash of Orange bitters,
half a jigger of Coates Plymouth gin, and half a jigger of French Vermouth;
stir briskly, strain into a frapped Cocktail glass, squeeze a piace of
lemon peel over the top, add an olive, and serve.


砕いた氷をミキシンググラスに入れ、オレンジビター、45ml プリマスジン
45ml ドライベルモット。 完全に混ぜ、冷やしたカクテルグラスへ。
レモンピールを絞り、オリーブを。



24ページ
DRY MARTINI COCKTAIL
a la charlie shaw, los angeles,cal.
Into a mixing-glass place some cracked ice, two dashes of Orange bitters,
half a jigger of French vermouth and half a jigger of dry English gin
(any good brand); stir well untill thoroughly chilled, strain into a stem
cocktail glass. squeeze a piece of lemon peel over the top and serve with an olive.



砕いた氷をミキシンググラスに入れ、オレンジビターを2ダッシュ
45ml ドライベルモット、45ml 辛口のイングリッシュジン。
完全に冷やしてカクテルグラスへ。 レモンピールを絞り、オリーブを。


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マティーニはオリーブとの相性を、ギブソンはパールオニオンとの相性を
考慮し、レシピを構成。 両者は、ただ単にガーニッシュが異なるだけの
カクテルではないというのが、これまでの持論。


しかし、このカクテルブックを知ると、ギブソンとドライマティーニとの
差異に、いささか悩んでしまいます。


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マティーニのレシピ。


26ページ
MARTINI COCKTAIL
Into a small mixing-glass place some cracked ice ,
two dashes of Orange bitters, half a jiggerful of OLD TOM
cordial gin and half a jiggerful of Martini & Rossi's
vermouth; stir thoroughly, strain into a stem cocktail-glass
which has been previously chilled, drop in a cherry,
squeeze a piece of lemon rind over the top and serve with ice
water on the side.


オールドトムジン45ml・マルティニ&ロッシ スイートベルモット45ml・
オレンジビターズ2dashes  チェリーを入れ、レモンピールを絞る。
氷を入れた水を添えて...



このマティーニに沿えば、現代 作られているマティーニ
すべからくドライマティーニである...



ドライマティーニ厨の方々、お疲れ様でした 苦笑


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ギブソンには、パールオニオンが付随するという固定観念を取り払えば、
ドライマティーニギブソンとの差異も見えてくる気がします。



ジンの銘柄をプリマスに固定すると、ベルモットの銘柄の選択が肝要。 
半量も入るので銘柄毎の味の違いが、大きな影響を与えてしまいます。


数度試作してみて感じたのは、懐かしさ。
勿論、ジンとベルモット半々とゆうレシピのギブソンを親しんだわけではなく、
ただ昨今のギブソン、及びマティーニが、ドライ過ぎただけ...



懐古するオールドギブソン
注文お待ちし...   え? 
誰も注文する筈がないって? ハイ正解! ガビーン 苦笑