にがいがうまい

苦味は、そもそも本能的に受け付けない味覚のひとつだが、
味覚経験の積み重ねによって、美味しいと感じる体験へと変わる。


カカオの苦味 → うまい
コーヒーの苦み → うまい
ビールの苦味 → うまい
カンパリなど薬草酒の苦味 → うまい
ゴーヤーやトレビスなど野菜の苦味 → うまい
ライムなど柑橘の苦味 → まずい


なぜなのか?



柑橘類の芳香成分は、その殆どが果皮表面にあるプツプツした油胞の
中にある精油に存在する(果肉にも液胞と呼ばれる箇所があり、その中に
香り成分があるが、油胞に比べれば香りは圧倒的に弱い)。



一方、柑橘の苦み成分リモノイドも、果肉より果皮に多く存在する。



柑橘から香り高い果汁を得たいのならば、果皮から
香りを抽出しなければならないが、それはまた同時に
苦味も果汁に抽出されてしまう事になる。



写真は、最大限に香りを抽出するために果皮を含む果実すべて使用、
非加熱で、果汁は絞らず、砂糖の浸透圧で果汁を得たコーディアル。



このライムコーディアルを使用したカクテルがコチラ ↓

前回紹介したカクテルぢゃないか ! 苦笑
まだ押すか? そら注文されるまで押すさ、押忍!



今まで、カクテルメイキングの御法度だった柑橘の苦味。
しかし、そもそも柑橘の苦み自体は、有害ではない。 



柑橘の苦味の主成分、リモノイドとナリンギン。これらは発がん抑制効果や
花粉症抑制、免疫力アップなど、本当はからだに良いとされる成分。 


有害なものでない以上、柑橘の苦味を嫌うのは個々人の味覚の問題、
単純にその人の好き嫌いに過ぎない。
過剰に柑橘の苦みを毛嫌いするバーマンもいるが、個人的な嗜好性向を
超えた説明が為されない以上、批判される道理はない。 お互いに。